こっちの世界と、そっちの世界で生きる
こっちの世界、そっちの世界
秋晴れの寒い週末
雲ひとつない空にぽかぽかの日差し
そんな日も、関係なく仕事はあるもので
溜まったメールを返信する、原稿を書く、資料をつくる
やらなければならないことがたくさんある。
そんな週末。
わたしはパソコンを持って、森の中に入った。
ひらひらと落ち葉が空から舞い
小鳥たちが楽しそうに歌っている
肌に触れる空気がハリっと冷たく
太陽の光が差し込む空間はとても温かい
落ち葉がスモーキーな香りを放ち
なんだかとても心地がいい。
パソコンを開き、向かった瞬間
全ての感覚がその中にはいった心地がわかった。
今いる世界の感覚が一気に手の先のパソコンの中の世界へと移動した。
パソコンの中にいるわたしは、あの人へ、その人へとコンタクトを取っている。
リアルタイムで返事が届き、まるで会話をしているようなやりとりが続く。
明日へ、来週へ、来月へ、来年へ、、昨日へ、去年へ、
山梨へ、奈良へ、京都へと頭の中でわたしが行き来しているのがわかる。
ふと、手を止めて、周りを見渡してみると
太陽の位置が変わっていることに気がつく。
気温が少し下がってきたかな、聞こえていたどこかの民謡が聞こえなくなったな
鼻に入ってくる空気が冷たい。
感覚に意識が戻る。
わたしたちは、リアルな自分と、そうではない自分の二つの自分を持っている。
何次元かとか、バーチャルか、ではなくて
ここにあるのか、そこにあるのか、の違い。
どちらが良いとか悪いではなくて
どちらも自分。
先日、はじめて会う12名で、TIME FOREST研修を行なった。
参加いただいたメンバーは、経営者や人事担当者など会社も立場もみんなバラバラ。
ここへ来た目的も、生活環境も、暮らしも、みんな違うメンバーだった。
森の香りを楽しんだり、光の温かさを感じたり
色とりどりの紅葉を眺めたり、鳥のさえずりを聞いたり
その時、この12人は人で、周りが森
あの会社のあの人とこの人、ではなくて
人と森、という関係性が見えた気がした。
気持ちの良い心地、森の美しさを共感し
自然のリズムにのっていく。
まるで一つの波に、みんなで波乗りしている心地。
いろいろな自分をもつ今の時代の中で
リアルな自分が本当はどんな姿で、どんな感性を持ち
何を大切にしていきたいのか、そんな感覚と向き合える時間を
森で過ごす時間は、教えてくれるのかもしれない。
間も無く12月になる森に、紫陽花の花が咲いていた。
狂い咲き?
とても元気に、そして美しく暖色になった森で、青々と輝いている。
この花は、今が輝く時。
周りがどうであれ、この花は今がその時。
勘違いをしていても、みんなと違っても
綺麗に咲いている。
それぞれに、特性があって、違いがあって
そんな命が集まって成長を続けている森だから
永遠に循環をし続けられるのかもしれない。
いつもの5分が、そうではない5分にも感じられる
それは、ここに生きる自分の感覚。
限られた時間の中で
そんな感覚でいられる時間を増やしていきたいですね。